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映画「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」公開に向けてイベント開催

 2017年7月15日(土)の映画の公開に先駆け、ジャパンプレミアイベントが4月26日と27日の2日間にかけて都内でイベントが開催された。

 セルゲイ・ポルーニンは19歳で史上最年少での英国ロイヤル・バレエのプリンシパルに昇格。「ヌレエフの再来」と絶賛され、人気絶頂の真っただ中で電撃退団をする。そのとき22歳だった。
 そして再び世界で注目を集めたのは、グラミー賞にノミネートされたホージアのヒット曲「Take Me To Church」のMVで踊るポルーニンの姿だった。「ラストダンスにしようと思った」というこのMVがきっかけとなり、本ドキュメンタリー映画以外にも、俳優としての出演も数本決定している。

polluninMV

  そのMVの撮影状況と、れまでのポルーニンの半生綴ったドキュメンタリー映画が「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」である。1日目は、主に記者からの質問に答えてくれた。

 まずこのチラシで目立つのは全身に纏った美しい数々のタツゥー。その思い入れを聞いてみたい。
「どのタツゥー?」と通訳さんに聞き直しているところからも、ひとつ一つのタツゥーに深い思い入れがあるのが分かる。
「フリーダム。自由な精神です。やっちゃいけないということからの解放。自由人の証。制約を受けない。もちろんタツゥーの見た目も好きですし、それに関わる職人さんたちも好きです」

 今後の活動に質問が及ぶと、
「演技は真剣に考えています。グッドアクターになりたい。でもダンスを辞める気はまったくない。再び踊ろうと思ったのは、何かを変えられるかと思ったからです」

 「苦しみから解放されるには、踊るしかない」と、ダンス業界に戻ってきてくれたポルーニンだが、現在「苦悩」とはどう向き合っているのだろうか?
「それは乗り越えなくてはいけないもの。心地よいものに安住してはいけない。苦悩と闘い続けるのは、パフォーマーとして常にあると思います」

 自身の映画を振り返ってみた感想をこう語る。
「自分の映画を見るのをはじめは拒否していたのですが、感情のジョットコースターに乗った感じで、旅路のようでセラピーになりました。両親の愛情と友情に気づかせてもらった映画です」

 実際、英国のロイヤル・バレエ時代に、両親や親戚を一度も舞台に招待したことがなかったことが映画で描かれているが、ポルーニンの苦悩のはじまりは、両親の離婚が関係していることが示唆されている。

 英国滞在中の15歳で、両親の離婚を知ったときのポルーニンは、「家族を幸せをできなかった」と深く失意する。そのときに自身に下した決意の言葉があまりに切なく悲しい。そのとき以来、何年も泣かなかったと語る。会えなくなった家族が再びひとつになれるように人の2倍練習していた彼には、それはあまりにも耐え難い現実だった。
 「何かのために頑張ろうと思えるのがなくなってしまった」ポルーニンはそれ以降、レッスンへの遅刻、ドラッグ問題がとり上げられるなど、『才能豊かな問題児』とメディアに書かれるようになる。
 
 そして英国ロイヤル・バレエの突然退団。当時のことを振り返り、心境を自らからこう語る。
「毎日レッスンに明け暮れて、人として成長する機会がなかったのかもしれない。ライフレッスンを教える科目がない」

 そして2日目の東京藝術大学奏楽堂で行われるイベントは、セルゲイ・ポルーニンとプレゼンテーター箭内道彦のアートに纏わるのトークセッションと、映画上映、そしてポルーニンが何かしらパフォーマンスをしてくれるというもの。
 映画上映のあとの暗転で流れてきたのは、「Take Me To Church」の音楽。内容を知らされていなかった観客は、感激と興奮で息を呑んでポルーニンの生のフルパフォーマンスを見守る。パフォーマンス後も観客の拍手は中々鳴り止まず、歓喜の渦が会場に広がった。
 先日の記者からの質問に答えるポルーニンの姿が思い出された。

 ー 現在パフォーマンスに望む気持ちは?
「舞台の上こそが僕のいるべき場所だと思います。ホームだと感じています」

 ー いま踊っていて幸せですか?
「良いときも悪いときもあり、心のうちで葛藤はあります。まだ学んでいる最中ですが、良いエネルギーを出すこと、楽しむこと、前よりもポジティブになりました」

 ー これからのダンサーとしての夢は?
「素晴らしい振付家、芸術監督、音楽が一体となった作品を創りたい。バレエ業界を変えてゆきたい。記憶に残るダンサーになりたい」

 

C) ハービー山口

C) ハービー山口

映画「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」
2017年7月15日(土)全国順次公開Bunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館ほか
http://www.uplink.co.jp/dancer/