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FOCUS

Kバレエ カンパニー設立20周年に挑む、世界初演『マダム・バタフライ』

 K-BALLET COMPANY『マダム・バタフライ』の制作記者発表が、7月29日に都内で開催された。
 『マダム・バタフライ』は、世界三大オペラの一つであるジャコモ・プッチーニのオペラ「蝶々夫人」を原案に、芸者・蝶々さんとアメリカ海軍中尉ピンカートンとの悲哀を描いた物語。

 熊川哲也による演出・振付・台本で、和と洋の融合に大胆に切り込む世界初演作。舞台美術デザインにダニエル・オストリング、衣裳デザインに前田文子、 照明デザインに足立恒など、制作スタッフも一流クリエイターたちを揃え、同カンパニー設立20周年に相応しい大作になりそうだ。

 出演は、主人公のマダム・バタフライ(蝶々さん)に、矢内千夏/中村祥子/成田紗弥、アメリカ海軍兵のピンカートンに堀内將平/宮尾俊太郎/山本雅也のトリプルキャスト。

 新作の経緯や創作状況について、熊川が熱く語った。
「(バレエという)西洋文化を継承し伝承している我々が、どう日本の文化を表現するのか。バレエは振り付けにしても持ち上げる、クルクル回すと言った(真逆の)要素が多い。日本文化を背負うのは(振付でなく)スピリットであると思い直し、作品に入れることにしました。
 今回はノンフィクションだと思っています。先日、初めて長崎を訪問しましたが、自分にとって本当にいいトリップでした。開国前の日本女性が外国人と結婚が許されない時代に、長崎に着港するセーラー(アメリカの海兵)との(遊女の)関係は実際にあったわけで。プロフェッサー(長崎史の研究者)によると“お菊さん”という女性がバタフライのモデルだったんじゃないかと。
 お菊さんとアメリカ兵の 1 カ月のアバンチュールを、近所に住んでいたジョン・ルーサー・ロングのお姉さんが見聞きして、ロマンティックに描かれたのが『マダムバタフライ』です。(実際にそのお姉さんが住んでいた場所でそれをお聞きして)僕は感動して涙が出そうになりました。

 一幕目ではピンカートンの生い立ちと、その母国の婚約者のケイトとの関係を色濃く打ち出しました。そのあとに花魁のシーンが登場しますが、(舞台美術デザインの)ダニエル・オストリングのすばらしいセットが垣間見れると思います。
 また、ピンカートンが長崎港に着任してバタフライと出会う場面がオペラでは書かれていないので、
そこで愛が育まれる模様をピックアップしたいと思いました。そのほかラストも少し変えようと思っています」

 振付については、「すべては音楽の神様にゆだねるしかない。音楽が解読できるかできないかによって、振り付けも変わると思います。熊川は作品の進捗状況を「全貌がやっと見え始めたかなという気持ちで、あと 1 シーンを残すのみです。頭の中で成功と言い聞かせ、自分をマインドコントロールしながら制作しています(笑)」

 主演キャストたちのコメントもお届けしたい。

○矢内千夏
-作品への思いや、蝶々夫人を演じるのに気をつけているのは?
「日本人だからこそ感じ取れる心情や、繊細な動きなど、自分の中で簡潔に表現していけたらと思っています」

○中村祥子
-蝶々夫人と花魁の二役を演じることについての、作品への思いや、蝶々夫人を演じるのに気をつけていることは?
「蝶々夫人は日本人であることは同じですが、どこか自分と一致する部分が見つからない気がしていました。振付も蝶々夫人の持っているものが、自分の中にあるのかという気がしていて。日本人であっても、簡単には和というものを表現できないんだなというのをいま感じています。花魁のほうは蝶々夫人よりも自分に合うというか、表現として出しやすいと思っています」

○成田紗弥
-役柄の難しさ、作品の見てほしいところは?
「国籍や身分の違いを超える愛を、どうステップや音楽に乗せて表現するのかが、難しいと思っています」

 また、プリンシパルの宮尾俊太郎が本作で振付助手としてもデビューすることになり、2019−2020年シーズンから常任振付・レペティートルに就任することが決定している。

○宮尾俊太郎
 「制作過程のほとんどに携わらせていただいてます。結局、スタジオに入っていろいろ試していくうちに作品はできあがっていくんだなと、毎日奇跡の瞬間に関わっていると幸せに思っています」
 アメリカ海軍中尉ピンカートン役を演じることについては、「この作品は蝶々夫人がどう見えるかが一番大切。ピンカートンは客席からブーイングが起こる人物であればあるほど、彼女の一途なところが引き立つので、ブーイングをもらえるように頑張ります(笑)」
 蝶々夫人役 3 人のパートナーについては、「矢内さんはなんでも動け、身体的にもメンタル的にも演出の意図を汲み取るのが早い。祥子さんは美しい感性のもと、この 3 人の中では一番、蝶々夫人として新しいかたちになると思います。成田さんは透明感があり、妖精のようなバレリーナ。非常に肝が据わっていらっしゃって(笑)、いままで K バレエにいなかったバレリーナです」
 トリプルキャストによる競演を心待ちにしたい。

https://twitter.com/dancerssupport/

公演情報

K-BALLET COMPANY『マダム・バタフライ』
2019年9月27日(金)~29日(日)Bunkamura オーチャードホール
2019年10月10日(木)~14日(月・祝)東京文化会館 大ホール
http://www.k-ballet.co.jp/performances/2019madame-butterfly.html