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映画『ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏』               

映画・ドラマ

 あの衝撃的事件から2年あまりーーボリショイ・バレエ団芸術監督のセルゲイ・フィーリンが、顔面に硫酸を浴びせられ失明の危機にーー。それだけでもショッキングな事件であるのに、逮捕されたのは、同バレエ団のソリスト、パーヴェル・ドミトリチェンコだったのだ。フィーリンが芸術監督就任してから2年あまりの2013年の悲劇だった。フィーリンは2008年までボリショイを代表するダンスール・ノーブルとして活躍したダンサーだが、その事件直後の顔面包帯だらけの痛々しい姿が忘れられない。しかしその約2年後、芸術監督として見事に復活を遂げる。

 1776年の創立から240年もの間カメラが入ることがなかったボリショイ・バレエ団。「ボリショイ」はロシア語で「大きい」を意味し、約250人のダンサーと3000人あまりのスタッフに支えられ、年間400回以上も公演をする巨大組織。その内部を撮った初のドキュメンタリー映画が『ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏』。

 製作はイギリスのBBC。2013-14シーズンの約5か月間を取材。アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を2度受賞したプロデューサーのサイモン・チンは、「外部から見えやすい組織づくりをという劇場総裁ウーリン氏の新たな体制方針から、ついに承諾が得られたんだよ」と初の撮影に成功した経緯を語る。
 監督・撮影のニック・リードは、ロンドンを拠点に活動しているイギリス人の映画製作者で、英国アカデミー賞の監督賞と撮影賞に3回ノミネートされ最終候補に残った実力派。「ボリショイ劇場関係者からのあらゆる結果を予測していた。でも実際の反応は予想外だったよ。彼らは妥協していない作品だと認めて、非常に気に入ってくれたんだ」と自信のほどを伺わせる。

 2011年に改装したロマノフ朝時代の内装、壁絵、天井にも注目したいが、世界的バレリーナのマリーヤ・アレクサンドロワや、マリーヤ・アラシュなどのインタビューや数々の舞台シーンも収録されている。フィーリンの「芸術監督の仕事は人心掌握が一番難しい。いつもバトルだ」が重く響く。

公演情報

■映画に登場するバレエの主な演目
『白鳥の湖』『ラ・バヤデール』『スパルタクス』『イワン雷帝』
アレクセイ・ラトマンスキー振付『ロスト・イリュージョン:失われた幻影』
マッツ・エック振付『アパルトマン』

2015年9/19(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開
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配給:東北新社
http://www.bolshoi-babylon.jp/