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【レビュー】惜しまれながら幕を閉じた、NHKバレエの饗宴<吉田都引退公演 Last Dance>

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 英国ロイヤル・バレエ団とバーミンガム・ロイヤル・バレエ団にて、22年の長きに渡りプリンシパルとして活躍後、日本のバレエ界にも多大な功績を築いたバレリーナ・吉田都が35年の現役生活にピリオドを打った。

 引退公演ではじめて踊る、フレデリック・アシュトン振付『誕生日の贈り物』がプログラムされており、ファンにとっても非常に嬉しいラストステージの贈り物となった。

 バレエ人生を振り返るイメージで選んだという、フレデリック・アシュトン振付『シンデレラ』第3幕のソロで幕を開け、全幕をはじめて踊った思い入れの強い『白鳥の湖』など、身体から音符が流れるような音楽性に心打たれる。

 そして特筆すべきは、国内のバレエ団からトップダンサーたちが集結したフレデリック・アシュトン振付の『誕生日の贈り物』。衣裳の豪華さもさることながら、主演クラスのダンサーたちが吉田都と共演という贅沢な顔ぶれで、一斉に踊る総勢14名のシーンは、まさに圧巻。贅沢すぎる構成で、まさしく吉田都の引退を飾る華やかな作品であった。
 吉田都の輝きに満ちた踊りを筆頭に、女性群で目を惹いたのは小林紀子バレエ・シアターの島添亮子のソロ。上品でありながら妖艶、且つ儚げな空気感を漂わせ観客を魅了。

 高田茜の代役で出演した英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の平田桃子は、第2幕の『アナスタシア』からキレのある端正な踊りで舞台を引き締め、新国立劇場バレエ団の米沢唯と東京バレエ団の秋元康臣の『ドン・キホーテ』のグラン・パ・ド・ドゥでは会場が大いに沸き、新国立劇場バレエ団の小野絢子と福岡雄大の盤石なパートンリングを見せた『シルヴィア』のグラン・パ・ド・ドゥも非常に見応えがあった。

 そして、最後のプログラムとなったピーター・ライト振付の『ミラー・ウォーカーズ』は、ロイヤルバレエ団のかつてのパートナー、イレク・ムハメドフとのしっとりとしたパ・ド・ドゥで、優美な残像を舞台に残したまま幕が降りた。

 客席はスタンディングオベーションで埋め尽くされ、15分以上は続いたと思わる長いカーテンコールが続いた。 「自分の踊りに陰りが見える前に引退する」の言葉通り、高い技量とともに充分な余力を残してのラストステージとなった。

〔2019年8月7日(水)新国立劇場オペラパレス〕