HOT TOPICS
アダム・クーパーの『Sinin’in the Rain~雨に歌えば』の来日公演がまだ記憶に新しい。映画スターのドン・ロックを主演し、雨が降り注ぐ舞台で、歌に踊りに生き生きとステージを駆け回った。これぞ本場のミュージカル!という完成度の高さで、演出・構成・キャスティング・ヴォーカルテクニック・ユーモアセンス等々、どれをとっても一流を思わせた。客席の前列も雨に濡れるという楽しい演出で、観客は大いに沸いた。その2014年11月から1年も経たず、こんなにも早い来日が実現するとは!
この夏、クーパーが『兵士の物語』に主演する。英国ロイヤル・バレエのプリンシパル、ラウラ・モレーラとの共演という日本公演のみの特別プログラム。1919年が初演とされているイーゴリ・ストラヴィンスキー音楽の作品をもとにしているが、演出・振付はウィル・タケット。イギリスの演劇界で権威あるローレンス・オリヴィエ賞を受賞しているが、日本では2012年に〈ウィル・タケット×首藤康之『鶴』〉が初演された。主演の鶴を大きなパペットとして登場させ、2,3人掛かりで鶴に息を吹き込み、英語でストーリーをナレーションするという演出が印象的だった。
『兵士の物語』のストーリーは、クーパー演じる兵士が、母親に会いに故郷に帰る旅の途中で悪魔と遭遇し、大切なヴァイオリンと引き換えにある取引に応じてしまうことから展開する物語。その兵士の相手役のプリンセスがモレーラだ。そのほか、英国ロイヤル・バレエのファースト・ソリスト、アレクサンダー・キャンベルとマシュー・ボーン作品に多数出演しているサム・アーチャーの実力派キャスト。
バレエと会話劇が繰り広げられるという、4人に凝縮された濃密な人間ドラマが楽しめることだろう。クーパーは「役者の力量が問われる作品」と意気込みを見せるが、今回はどんなエンターテイメントを見せてくれるのか待ち遠しい。
2004年英国ロイヤルオペラハウス リンバリースタジオ上演時舞台写真
公演情報
英国ロイヤル・オペラ・ハウス版『兵士の物語』
2015年7/24(金)~8/2(日)東京芸術劇場 プレイハウス
http://www.parco-play.com/web/program/soldier/