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「ボローニャ歌劇場の『カルメン』には嫉妬を覚えてしまった。あれほどエロティックで官能的なカルメンを見せつけられると、日本人には越えられない壁のようなものを感じてしまいます。でも、挑み続けなければならない」と語っていたのは芸術監督の熊川哲也。その約3年後の2014年、Kバレエ カンパニー15周年記念公演として『カルメン』の初演を立ち上げた。そしてこの秋、再び『カルメン』に挑む。
同カンパニーの『カルメン』で特筆したいのは、これまでの作品の演出・振付からの改訂ではなく、「オペラのバレエ化」のアプローチを試みている点である。そのためNYのオペラハウスから舞台美術にダニエル・オストリングと、衣裳デザインにマーラ・ブルーメンフェルドを招いた。また初演で注目されたのは、小道具を巧みに駆使した熊川の演出だ。カルメンがホセに連行されるシーンで、縄を使ってふたりの人間関係と心理描写を鮮やかに視覚化した。
本公演で熊川哲也がホセ役として久々にカムバックするのも嬉しいニュース。初演に続き、カルメン役に白石あゆ美と熊川が組む。白石は先月8月にプリンシパルに昇格したばかり。躍進中の白石と熊川とのパートナリングにも注目が集まる。その他、安定したテクニックと表現力に定評がある荒井祐子の遅沢佑介ペアと、追加公演に中村祥子と宮尾俊太郎の出演も決定。元ベルリン国立歌劇場プリンシパルのヴィスラフ・デュデックがエスカミーリョ役でゲスト出演するのも楽しみだ。
公演情報
Kバレエ カンパニー『カルメン』
2015年10/9(金)~10/11(日)Bunkamuraオーチャードホールhttp://www.k-ballet.co.jp/performances/2015carmen