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新国立劇場『近松の女』酒井はな×島地保武のインタビューお届け

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 新国立劇場が「近松門左衛門」をテーマに「近松DANCE 弐題」と銘打ったシリーズが4年ぶりに再演される。Aプログラムとして『エゴイズム』、Bプログラムに『近松の女』を上演。『近松の女』は、日本舞踊・バレエ・フラメンコ各界の第一線で活躍中の舞踊家が「近松作品に登場する女性をテーマとした作品を踊り、美を競い合う」趣向で3部作で構成されている。

 その3部作のひとつ「近松リポーターズ」として登場するのが、酒井はなと島地保武、そしてチェロ奏者の古川展生。この3人のコラボは、2014年「NHKバレエの饗宴」で初演された『3月のトリオ』でも好評を博している。「近松リポーターズ」では不義密通に問われた、おさんと茂兵衛の事件を取り上げた近松門左衛門の人形浄瑠璃「大経師昔暦(だいきょうじ むかしごよみ)」を、男女の悲恋物語として描いた映画「近松物語」をモチーフにしている。

            

 演出・振付の島地は「情景が見える作品にしたい。おさんと茂兵衛の死後の世界も描くことができたらなと思っています」。奏者の古川も音楽家としてだけでなく、おさんの兄や茂兵衛の父としても登場する可能性もあり、酒井にも台詞があるかもしれない、と構想中。

 本公演で謳われている”美”についてのそれぞれの定義は?
「品格です」ときっぱり語るのは酒井。一方、島地は「どこにでもあるもの。それを感じること・察知することができるセン スが問われるのだと思います」。

 2012年のセルリアンタワー能楽堂の『藪の中』での共演、2013年に島地保武×酒井はなのユニット「アルトノイ」を結成してからのふたりでの出演が増えているが、創作過程はいつもどのような感じなのだろう?
「バレエの所作を入れるときもあります。こういう方がやりやすい、こういう見方の方とかいいかも、と意見するときもあるかな」と酒井。
「これがやりたいからでなく、はなさんと一緒にやりたいという思いが強いです。でも創作過程で辛いのは、顔を見ると分かってしまうんですよね。これはなんかちょっと不満なんだなとか(笑)。その反応から方向転換をするかどうか僕のなかで闘いですね」
とは言いながらも、インタビューは始終和やかな雰囲気。

 ふたりで組む難しさと楽しさは?
「”酒井はな”という素晴らしいダンサーと踊るということは、並大抵なことでは太刀打ちできないので難しいけれども、それがまた楽しいです」。
「これまでの経験から多くの場合次の振りはこうかな、とだいたい想像ができるんですが、島地さんの場合はまったく予知できない。ダンサーにとって大変なことだけれども、興味深くて楽しい」。

 難しさを楽しさに変えてしまうふたりがどんな『近松の女』の世界を見せてくれるのか、古川展生とのコラボにも期待したい。

公演情報

新国立劇場 ダンス 「近松DANCE 弐題」
Bプログラム『近松の女』2015年10/16(金)~18(日)新国立劇場 小劇場
http://www.nntt.jac.go.jp/dance/performance/150109_006134.html

※Aプログラム『エゴイズム』は2015年10/9(金)~11(日)の上演