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新国立劇場バレエ団の2015/2016シーズンは『ホフマン物語』で開幕

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 新国立劇場バレエ団『ホフマン物語』の記者会見と懇親会が先月同劇場にて行われた。スコティッシュ・バレエの創立者ピーター・ダレルの振付を忠実に再現し、衣裳と舞台装置を一新する新制作となる。
『ホフマン物語』は、フランスで活躍した作曲家ジャック・オッフェンバックによって1881年に初演されたオペラ作品として知られるが、詩人ホフマンが20代から初老に至るまでに愛した3人の女性を回想する物語である。

 舞踊舞踊芸術監督の大原永子は、ダレルに見いだされた元スコティッシュ・バレエのプリシンシパル。大原監督は『ホフマン物語』の3人の女性主役を踊った経験があり自然と熱が入る。
「ホフマンの悲哀、悲劇の物語であるのですが、ファンタジーの要素があり、バラエティのある作品になっています。3人の主役の女性が出演するユニークな設定です」と語るとおり、1幕に人形のオリンピア、2幕にバレリーナのアントニア、3幕に高級娼婦のジュリエッタが登場する。
「1幕、2幕、3幕とすべて違うシーンになっているので、3作品を観ている感じになると思います」

 3人の女性には、長田佳世、小野絢子、米沢唯、奥田花純、本島美和が挑む。オリンピア役の長田の「感情のない役をどう演じるか、存在がなくならないようにしたい」と語るとおり、ホフマンが少女と勘違いしてしまうことから、人形が人間に見える表現力も要求される。アントニアとジュリエッタの両役に抜擢された米沢は「ニ役も踊れるなんて有難く嬉しい」と満面の笑顔。
 
 もう一人の重要な役どころである悪魔の化身リンドルフは、人形師や医者など各場面で姿を変えて登場し、ホフマンに始終付きまとう。リンドルフ役には、マイレン・トレウバエフと貝川鐵夫が配役。
 そして主人公ホフマンには、福岡雄大、菅野英男と井澤駿のトリプルキャスト。青年から老人までを演じなければならないだけでなく、全幕を通してほとんど舞台に立つことになるので、体力・集中力・力量が問われる。

 しかし、悲劇に終わるホフマンの人生を描いた本作は、魔法の眼鏡のせいとは言いつつも、人形に恋に落ちたり娼婦に翻弄され、哀しい男としての印象が強い。だが、
「『白鳥の湖』のジークフリート王子や『ジゼル』のアルブレヒトとたぶん違って、3人の女性を誠実に愛した人だと思います」
 そう力強く語る福岡の姿に、人間味溢れる魅力的なホフマンを見た。

公演情報

新国立劇場バレエ団『ホフマン物語』
2015年10/31(金)、31(土)11/1(日)、3(火・祝)新国立劇場オペラパレス
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/hoffmann/