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この11月、森山未来が「死刑囚」役に挑む。漫画家・荒木飛呂彦の『死刑執行中脱獄進行中』が原作となっているが、その中に出てくる「女性を殺害した死刑因27号」を森山が主演する。
本公演の企画・構成・演出・振付の長谷川寧は、主演の森山未來とはTVドラマ『モテキ』主題歌のPVで振付に加わった頃からの仲であり、演劇とダンス界を自由自在に行き来する森山の出演を希望していた。
長谷川寧 C) Hideki Namai
数年前から温めてきた企画というが、そもそも振付家として活動をはじめたきっかけは何だったのだろう?
「元々演劇のカンパニーを立ち上げていて、その後ノンバーバル(言葉に縛られないもの)に特化したものをやりたいという思いがあり自身のカンパニーを立ち上げました」
その熱意が2003年の冨士山アネットの創設に繋がる。
「身体を使って物語るフィジカルシアターを出発点として、セリフを使ったり削いだりする試行錯誤を繰り返していました。特徴として演劇的な流れを汲んだシアトリカルな振付が多くなりました。元々ダンス畑の人間ではない自分がその中でどうやったら闘えるのか、という事を考えて作品を創ってきました」
国内の活動の他、シンガポールの国立劇場での招聘等海外でも作品を制作する機会が増えるなかで「ノンダンス」の影響も受けたという。
「ダンスをどう捉えるかという思考を作品にするという事に興味を持ちました。現在の自分の作品の中には踊らない作品もありますし、そもそもなぜ踊る必要があるのか、と問うことに興味を持ちました。これは演劇これはダンスとか、ジャンル分けするのではなく、”ジャンルを疑うこと”そのものをテーマに作品にしていく事に近年では注目しています。
僕自身の活動もひとつのジャンルにこだわらず、様々なチャンネルで活動しその状況に応じた作品を制作していくことに興味がありますね。その活動自身が自分の新たな作品を作るモチベーションにもなります」
”2次元と3次元など、次元の違うものを組み合わせる長谷川流”に、ダンサー・俳優ときに振付家である森山の配役はこれ以上ない適役であろう。
森山はこれまでも、2012年の『テ ヅカTeZukA』や2015年の『プルートゥPLUTO』(手塚治虫原作/シディ・ラルビ・シェルカウイ演出・振付)など、漫画原作の話題作に登場し注目を浴びてきた。
本公演の企画者として、『死刑執行中脱獄進行中』を選んだ理由は?
「まず荒木作品に魅力を感じているということ。作品を選ぶなかで短編を探していたのですが、『死刑執行中脱獄進行中』では主人公のキャラ・設定を膨らませやすいという点です。また荒木作品をはじめて舞台化するので自分のなかでどう解釈するのかを見せていきたい。原作に寄せるという方向性だけだと限界があるので原作を尊敬ありきで、舞台表現として昇華させたい」
音楽はオリジナルの生演奏となり、森山は本公演で共同振付としても参加する。ジャンルを超えたアーティスト同士のコラボは、私たちの想像を遙かに飛び越え、次元を超えた長谷川ワールドへと誘ってくれるに違いない。
公演情報
『死刑執行中脱獄進行中』
<東京公演>2015年11/20(木)~29(土) 天王洲 銀河劇場
<仙台公演>2015年12/2(水) 仙台 電力ホール
<広島公演>2015年12/5(土)、6(日) JMSアステールプラザ 大ホール
<札幌公演>2015年12/15(火) 札幌 わくわくホリデーホール
<富山公演>2015年12/19(土)、20(日) 富山県民会館ホール
<大阪公演>2015年12/22(火)、23(水・祝) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
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