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2013年からシリーズ化している勅使川原三郎の〈言葉とダンスの新たな関係を追求する〉連続公演。シアターXでの『ある晴れた日に』と『ゴドーを待ちながら』の開幕がいよいよ12月に迫る。
日本初演となる『ある晴れた日に』は、勅使川原と佐東利穂子のほか、ポーランド人ダンサーとの共演で、10月にポーランドで初演。このシリーズの当初から取り組んでいるポーランドの作家ブルーノ・シュルツと、シュルツを敬愛するポーランドを代表する演劇人タデウシュ・カントルに因んだ作品となっている。
シュルツは、”変身”を多くテーマに扱っているところからもフランツ・カフカ作品と比較されることもあるが、その独特な世界観は現代でも注目され続けている。カントルは演出家としてその名を世界に知らしめ、彼なくしては現代の演劇も発展しなかったと言われている人物である。
勅使川原がシュルツとカントルのこの2人の作家にどう向き合うのか興味深い。
『ゴドーを待ちながら』は、アイルランド出身のフランス劇作家サミュエル・ベケットによる1950年代に出版された戯曲から着想を得て、勅使川原が独自に創作するダンス作品。ふたりの浮浪者がひたすらゴドーという人物を待ち続けるストーリーであるが、ゴドーが誰であるのか、なんのためにふたりはひたすら待ち続けるのかが明かされることは一切ない。何が起こるわけでもなく不毛な会話が続く戯曲は、のちに「不条理演劇」の代表作として演劇界などに強い影響を与えてきた。
勅使川原は、朗読も織り交ぜ独自の世界観を創り上げた。本公演は2015年6月に活動拠点であるカラス・アパラタスでの公演シリーズ「アップデイトダンス」において上演されたが、劇場をシアターXに移し新たに上演される。
ベテランの域に達しても常に進化し続ける驚異の勅使川原の舞台をたっぷり堪能したい。
公演情報
勅使川原三郎 連続公演
『ある晴れた日に』2015年12/3(木)~6(日)シアターX
『ゴドーを待ちながら』2015年12/10(木)~14(月)シアターX
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