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INTERVIEW

辻本知彦Tsujimoto Tomohiko

ダンサー・振付家

「最先端を走るダンサーになりたい」

舞台に登場しただけで圧倒的な存在感を放つ稀有なダンサー・振付家の辻本知彦。シルク・ド・ソレイユのダンサーとして広く知られているが、ダンサーとしてのデビューはじつはニューヨーク留学中ですでに果たしている。ブロードウェイ・ダンス・シアター(BDC)でレッスン中に関係者の目に留まり、シカゴで初舞台を踏んだ。日本に帰国して以降は、ダンサーに留まらず、ミュージカル界や創作バレエの振付家としても活躍中。2016年の舞台REVO2016『SESSION』では、初の女性役(?)としてタイトスカートとハイヒールで踊り、舞台の注目をかっさらったのも記憶に新しい。

 2016年12月には初の試みとして、オールトークショウが開催された。その名も「毒宴会」。まったく台本がないと思われるトークで最後まで飽きさせることなく、アットホームな雰囲気に包まれた古民家では始終笑いが絶えなかった。手ごたえはどうだったのだろうか?

脱・塩対応 !?

 2016年12月には初の試みとして、オールトークショウが開催された。その名も「毒宴会」。まったく台本がないと思われるトークで最後まで飽きさせることなく、アットホームな雰囲気に包まれた古民家では始終笑いが絶えなかった。手ごたえはどうだったのだろうか?

「はじめてファンと会って、来てくれたみんなが優しい顔で見てくれた。僕にはファンがいるんだと感じられたことが嬉しかった」
 それには深い理由がある。
「僕はずっと『神の塩対応』と呼ばれていたんです。その頃、ファンの存在は芸事を腐らせると思っていた。僕より厳しいファンはいないからです。
 僕がどれぐらい怖い存在と思われ、牙を持っていたか周囲のダンサーたちは知っている。下手なダンサーとは口も利かなかった。でも今は、外に向かっていた牙が内に向くようになった」
 そんな「塩対応」にも関わらず、10年以上ずっと見守ってくれているファンがたくさんいた。

「でも本当は、ダンスのソロ公演をしようかなと思っていたんですけど、避けてきました。挑戦するのは良いことと分かっているけれど、実際辛そうなんですよね、やっている人を見ていると(笑)。
 それで思ったんです。それより難しいのは『喋る』こと。喋るだけだと厳しいかなと。ふたつ選択肢があれば難しい方を取りたい。苦悩があるけれど得るもの、生まれるものが多いから」
 この「毒宴会」は好評を博し、独演会と名前を変え、すでにシリーズ化している。

思想でダンスをする

 7年前の舞台「素晴らしい偶然をもとめて」が、「素晴らしい偶然をあつめて」と装いを変えて、新たに出発する。脚本と振付は森山が担当、演出は辻本が担う。

「何も考えないで創作はできます。でもそれは、『観たことある・知ってる・できるもの』になる。ダンス以外のことを伝えてゆく人間でありたいし、それがダンサーと社会がつながる手段であってほしい。どう社会と繋がってゆくか、やり続けることです」

 以前、「思想でダンスをしている」と森山に評されたことについては?
「そう言われて自覚するようになりました。『哲学』という言葉が好きです。勉強がしたい。難しい人の話を聞きたい(笑)。ダンスだけをやっていてはダメだと思うんです。いろんなことを考えてやっていかないと。なんだっていいと思うけど、ひとつのことを深く考えたい」

 7年前の舞台「素晴らしい偶然をもとめて」の映像を久々に見たという。
「恥ずかしかったですね。普通は作品のスパイスを一つしか見せないんですが、それをずっと見せていた。素直やね(笑)。素が出ちゃった、ちょっと日記的な感じかな」
 当時共演した森山の印象を問われると、「この人は芸術家になるだろうな」と感じたという。今でこそ多くの世界的振付家の作品に主演し、振付家としても活躍しているが、その頃は『モテキ』の大ヒットで俳優としての知名度の方が高かった。

自分にとってのダンス

 そして、7年の歳月をかけて成長したふたりが見せる舞台とは?
「前よりは面白くします。これは絶対約束できる!(笑)。前回もセリフはありましたが今回もあると思います。未來が作曲した音楽でギターを弾くかもしれない。新しいものを創るとき、できるものだけをやってはいけないと思いはある」

 ところで、タイトル「Vol.0」の「ゼロ」とは?
「ゼロにしていると都合が良いことが多いからかな(笑)。作品の方向性が見えてきたときに『1』になってゆくんだと思う」
 ということは、これから先もずっとふたりのコラボは続くということだろう。再演のきっかけも聞いてみたい。
「僕から声をかけました。クリエイティブな人たちと毎年作品を創っていきたい。良い作品を創作して毎年やり続けることをライフワークにしたいですね」
 
 今後の野望について聞いてみると、
「絶対言いたくない(笑)。うーんと、言える範囲では、ダンス以外で稼ぐことかな。他で生計を立てたときにそれでもダンスを選んでいるか、僕自身何ができるのか知りたい。踊りも変わると思う。そういう自分を見てみたい。そうなったときに、自分にとってダンスは何なのか知りたい。二極性を持ちたいですね」

C) Takao Sakai

C) Takao Sakai

==プロフィール==

ニューヨークでのダンス留学を経て、Noism04創設初期メンバーとして入団。2004年ローラン・プティ振付『ピンク・フロイド・バレエ』、2011~14年 シルク・ドゥ・ソレイユ『Michael Jackson The Immortal World Tour』に出演。東宝ミュージカル『RENT』の振付、プレミアム・ダンス・ガラ 白河直子とデュオ作品 『透き通った夢』や蜷川幸雄演出 の『青い種子は太陽のなかにある』にて振付・出演を担う。2016年の冨田勲×初音ミク『ドクター・コッペリウス』の振付、Sia『Alive』の日本版や、米津玄師『LOSER』のミュージック
ビデオの振付・ダンス指導を行うなど活動の幅を広げている。

公演情報

きゅうかくうしお Vol.0『素晴らしい偶然をあつめて』
2017年4/28(金)~30(日)VACANT
https://www.tsujimoto.dance/