ページの先頭です。

INTERVIEW

島地保武Shimaji Yasutake

演出家・振付家・ダンサー・ユニット〈アルトノイ〉

「刺激し合う仲間を集めたい」

コンテンポラリーダンス・ファンで、「島地保武」の名を知らない人はいないだろう。金森穣が率いるNoismに所属し、その後ドイツのThe Forsythe Company(ザ・フォーサイス・カンパニー)に入団し中心的役割を果たした。帰国後は日本を代表するバレリーナの酒井はなとユニット「Altneu(アルトノイ)」を結成。ダンサーとしての活動のみならず、様々なプロダクションへの振付作品の提供と出演もしている。今後の舞台予定は、7月4日の谷桃子バレエ団「トリプリビル」の一作品「セクエンツァ」の振付・出演にはじまり、KAATキッズ・プログラム2017「不思議の国のアリス」と「島地保武×環ROY ありか」の再演と続く。

 home_mainimage01_sp

 

 近年は自身の振付作品に出演するイメージが強いが、2016年の高知で上演されたダレン・ジョンソン振付の「ゼロ・ポイント」にはダンサーとして出演。今年は約一年ぶりに横浜・KAATで上演される「不思議の国のアリス」にダンサーとして出演する。
 演出・振付・出演は森山開次、日本のコンテンポラリーダンス界を牽引するトップダンサーの辻本知彦と島地保武の出演のほか、振付家・演出家・ダンサーの下司尚実と、新体操出身のダンサー引間文佳、そして本作で舞台初デビューとなる女優のまりあと多彩なキャストが名を連ねている。

愉しいクリエーション現場

 まずはリハーサルの状況について伺ってみた。
「自由にクリエーションさせていただいています!僕らがあまりに自由なので、開次さんがいつ噴火するかと(笑)。開次さんは、踊り手に好きにやらせてくれる器がある振付家です。日本でこういう機会を持たせてもらえるのが嬉しい。
 中心的な構成・振付は開次さんが務めているんですが、クリエーションには出演者も関わっています。開次さんと僕は、2001年にサンフランシスコで上演された、山崎広太さんの作品で共演しているんですが、開次さんの振付作品を踊るのはこれがはじめてです」
 出演者全員がクリエーターでもある多士済々な個性溢れる面々。賑やかな創作現場が想像できる。

 森山も島地も、ダンサー・振付家という同じ肩書きを持つが、森山をどのような振付家と感じているのだろうか?
「創り方が僕と比べて全然違う。僕の場合はダンサーありきの傾向が強い。イメージは頭の中にあるんですが、まっさらに近い状態でスタジオに入る。現場で振付を即興でクリエイトするタイプだと思います。
 開次さんの場合は、最初から絵コンテを用意してスタジオに入るタイプだと聞いています。でも、今回のリハーサルに関しては、あえてそういう形を取らずにクリエーションを進めているようです」

  共演者の森山と辻本知彦の出会いについて聞いてみると、
「大学生の頃に、山崎広太さんの作品に出演している開次さんを舞台で観て、強い影響を受けました。男性か女性か分からない、人かも分からない、こんなダンサーがいるなんて!開次さんみたいになりたいと思いました」
 特に、動きのしなやかさに衝撃を受けたという。

 一方の辻本については、
「気になる存在です(笑)。牧阿佐美バレエ団の『ピンク・フロイド・バレエ』が、確か舞台ではじめて観た辻本さんだったんですが、とても大きく見え、強いインパクトがありましたね。遊ぶ感覚を持っているダンサーです」

 ずばり、「不思議の国のアリス」の見どころをお聞かせください。
「子どもが観たらきっと大人に成長する手がかりを感じられるし、大人から観たら子どものときの感覚が戻ってくるんじゃないかな。」

 魂に響いた出合い

 プロのダンサーを目指したきっかけについては、
「大学生のときにはじめてモダンダンスの舞台に出演して、正直言って全く頭では分からなかったけど、なにかが魂に響いたんだと思います」
 その言葉通り、その後は日本を代表するコンテンポラリーダンサーとして成長してゆくことになる。
 
 アリスの次は「島地保武×環ROY ありか」が、同じくKAATで9月8日(金)から上演される。初演は愛知県芸術劇場だったが、舞台後の感覚はどうだったのだろう。
 「クリエーション期間が長かったのでいろんな方向から取り組む機会がありました。でもけっしてスムーズに進んだ作品ではなかった。それだけに公演が終わったときには、ひとつのものを創り上げた達成感があった。同時に、まだ不足な部分も感じました」

 再演に向けての想いは?
 「相手に寄せすぎないことですね。いっしょに作品を創っていると仲良くなって似てきちゃう。でも、あえてそれを引き離す。そうでないと、違いという面白さが半減してしまうので、初演をベースに変えてゆきます」

 過去のインタビューで、「できることしかやらなくなってしまう」ことへの危機感について語っていたが、常に新しいものに挑戦してゆく探究心が強いダンサーである。
 そんな彼が目指すものはなんだろうか。
「僕には、荒々しさ、破壊力といった表現力があると自分ではあまり感じていないんですが、でもそれがないと決め付けてしまうのも良くない。それが分かっているからこそ、あえてそういう表現に挑戦したい。身体もそうです。同じことばかりを繰り返してはいけないという思いがあります」

アルトノイからの発展

 2013年に結成された「Altneu(アルトノイ)」から5年。酒井はなについても語ってもらった。
 「結成当初は、ダンサーとしてのジェラシーをすごく感じていました。そこに太刀打ちしたいと思っていたんですけど、今は諦めています(笑)。彼女の舞台を何度も観ているから、素晴らしいことは分かっている。でも毎回その感動を越えてきてしまう。やっぱりすごいダンサーだなと」

 一番強い影響を受けたことといえば?
「やはりそれはバレエです!歴史などについても教えられるところがあるし、身体の使い方はもちろん、僕の振付作品の中にもその影響は当然受けています。彼女はクラッシックを軸に生きている。コンテンポラリーを踊って、またクラシック・バレエの世界へ戻ってゆくというスタンス。それを大事にしてもらいたいと思っています」
 来年2018年には、ふたりのペアが出演する舞台があるということで楽しみにしたい。

 振付家・ダンサーとして抱いている夢を語ってもらおう。
「クリエーターたちと、カンパニーを創りたい。その思いはずっと変わらないです。いっしょに創り刺激し合える仲間を集めたいですね」

 

C) Takao Sakai

C) Takao Sakai

==プロフィール==

1998年モダンダンスを加藤みや子に師事。山崎広太等の作品に参加、04年Noismに入団し主なパートを踊る。2006年〜2015年ザ・フォーサイス・カンパニーに所属、11年シルヴィ・ギエム東日本大震災チャリティー・ガラ『HOPE JAPAN』に出演。12年セルリアンタワー能楽堂にて『藪の中』を発表。13年より酒井はなとのユニット〈アルトノイ〉を結成し、さいたま芸術劇場にて新作『詠う〜あなたが消えてしまう前に〜』、14年「NHKバレエの饗宴」にてアルトノイ×古川展生(チェロ)で『3月のトリオ』を発表。資生堂第七時椿会メンバー。

公演情報

KAATキッズ・プログラム2017「不思議の国のアリス」
2017年7/22(土)~8/6(日) KAAT芸術劇場中スタジオ
http://www.kaat.jp/d/alice_kaat

「島地保武×環ROY ありか」
2017年9/8(金)~10(日) KAAT芸術劇場大スタジオ
http://www.kaat.jp/d/arika