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INTERVIEW

宝満直也Homan Naoya

NBAバレエ団/ダンサー・振付家

「オリジナルの全幕物を創れるようになりたい」

新国立劇場バレエ団のバレエ研修所5期研修生として学び、2010年に同バレエ団入団、2014年7月ファースト・アーティストに昇格。振付家としても多くの作品を発表し、高い評価を得ている宝満直也。そして2017年12月からNBAバレエ団にて新天地を目指すことになった。次なる舞台は、2018年2月開催の「ARCHITANZ 2018」『ジ・エッジ・オブ・ザ・サークル』に出演する。スタジオ アーキタンツの撮影協力のもと、ダンサーとしての思い、これからの夢を語ってもらった。

 神奈川県の北美代子バレエ研究所に通うことになり、7歳で初舞台を経験しているが、はじめたきっかけはなんだったのだろう?
「実はずっとバレエが好きになれませんでした」

アンパンマンにハメられる!? 

 「︎6歳の時、デパートの屋上にゲームコーナーがあって、︎100円でアンパンマンがポップコーンを作ってくれるマシーンがありました。母親に『どうしてもあれが食べたい』とねだったら、『バレエを習うなら買ってあげるよ』『じゃぁ、やる!』と答えて。でも、そのときはバレエが何であるかまったく知らなかったんですよね(笑)」

 そして数日後、気づいたらスパッツとシャツが届いていて、よくわからないままバレエレッスンに通うことに。
「ずっと好きになれなくて辞めたいと思うときもありましたが、母親が熱心だったので辞めたいと言い出す機会がないまま続けていました(笑)」
 そして1年後に『コッペリア』で初舞台を迎えることになり、結婚のシーンで女の子といっしょに踊ったのがデビューとなった。
 しかしその後、バレエダンサーとなってしまうのだから人生面白い。

 「高校生のときにバレエを辞めてダンスを習いたいと思い始めて、︎試しに入ったスタジオが大貫勇輔くんの実家が経営するダンス教室でした。そこで色々なジャンルに触れて、音楽に合わせて身体を動かすことがこんなに楽しいなんて!と初めて踊ることの楽しさを知りました。︎それと同時にクラシックバレエの楽しさにも目覚めました」
  いったんバレエから離れてみて、良い結果を生むことに。
 「それまで僕にとってバレエはレッスンでしかなかったのが、踊りと捉えられるようになり、バレエの美しさと奥深さに魅了されるようになりました」

 プロフェッショナルとしてのダンサーを意識し始めたのはいつ頃だったのだろうか。
 「高校生の時、将来の進路を考える時期に、周囲はとりあえず進学という人が多数でした。でも僕は、やりたいことがはっきりしないまま大学進学という選択肢は思い浮かびませんでした。︎その時、自分には何があるのかなと考えた時に僕には踊りがあると思ったのです」

  そして新国立劇場バレエ団研修生募集の話を聞き、オーディションを受け見事合格。18歳で入所することになったが、10代のころの憧れのダンサーはいたのだろうか?
 「憧れという視点ではありませんが、尊敬するダンサーは岩田守弘さんです。今よりずっと厳しい時代だったと思いますが、ボリショイ・バレエ団の門をアジア人ではじめて切り開き、努力をし続けてファーストソリストまで上り詰めた人で、尊敬しています」

  新国立劇場バレエ団研修所が主催する「バレエ・アステラス☆2009」の公演で岩田がゲスト出演した。
 「若手の男性ダンサーを集めて屈託のない笑顔で、『いいかい、君たち。バレエは義理と人情だからね』と話してくださり、その言葉で肩の力が抜けました。気さくで素敵な人だなと岩田さんの人柄に惹かれました」

ある強い衝撃

 ダンサーとしてではなく振付家としての才能も発揮。創作した作品の中で一番思い入れが強い作品について伺ってみた。
「全ての作品が大切なモノで、同じように思い入れがあるので、順番を付けるのは難しいのですが。…あえて挙げると2016年の新国立劇場バレエ団の「DANCE to the Future 2016 Autumn」で振り付けた『三匹の子ぶた』です。初めてクラシック音楽を用いてバレエ団のダンサーに振付をした作品です」

  クラシック音楽を使用したのはある人の影響が大きい。
 「マッツ・エックの作品を生で観るのはそれがはじめてだったのですが、湯浅永麻さんと木田真理子さん主演の『ジュリエットとロミオ』 をスウェーデンの劇場に観に行ったときに、クラシック音楽でこんなに自由に創っていいんだ!!と、頭を打たれるほどの強い衝撃を覚えました」

 その衝撃が、名作童話とクラシック音楽の融合をもたらす。
「ショスタコーヴィチの音楽を聴いたときに、あ。これ『三匹の子ぶた』でいけるかも。とすぐ頭に浮かびました。池田武志くん(当時の同バレエ団のファースト・アーティスト)が狼役で登場し、バットマンで思いっきり180度上げるシーンが浮かんできて。日本人離れした素晴らしいラインを出すことができるダンサーなんです」
  作品の構成はスラスラ浮かんだというのだから感嘆する。

 「振付をするときに一番大切にしているのが、自分が楽しめているかどうかです。踊りにも同じ事が言えると思うのですが、振付はその人の感性がそっくりそのまま表れます。その人が楽曲をどのように聴いているのか、どのように見えているのか、空間をどう感じているのかが表れます。
 普段感じていないことは表現できないですから、極力色々なものを見て、様々な場所に行って多くの人の話を聞くようにしております。閃きを逃さないために、ノートはいつも持ち歩いています。どこで上演するかは決まっていなくても書き留めてしまいますね」

 最初に振付に関わったのは、学生時代だった。
「高校2年生ぐらいですね。僕がダンスを習っているという噂が高校で広まっていて、先輩から体育祭の応援合戦の振付を頼まれました。はじめて振付を経験して、純粋に楽しいなと感じました。当時はもちろんそれが仕事になると思っていなかったのですが、バレエ団入団翌年の2011年にデビッド・ビントレー監督から「Dance to the future」で上演する︎機会をいただいたときは、嬉しかったですね」
 奥田花純と共演した『Light Dance』は好評を得、その後、創作作品多く生み出すきっかけともなった。

転機を生んだ作品

 ターニングポイントは、2012年の「Dance to the future2012」での出演だった。
 「入団2年目に、平山素子さん振付の『Butterfly』のデュエットに抜擢してもらったのですが、とても素晴らしい作品で、あの経験は本当に僕にとって大きかったです。この出演がなかったら今の僕はなかったかもしれないと思います それまでコール・ドでしたので、しっかりリハーサルを見て頂いたことも大きかった。︎素子さんのモノ創りへの情熱やこだわりに触れて、たくさんのことを学ばせてもらいました。『Butterfly』が蛾のイメージと伺ったので図鑑を買って来、ダブルキャストの奥村康祐さんといっしょに図鑑を見て蛾の気持ちになれるように研究しました」

 そして次なるステージが、新しい年を迎えての「ARCHITANZ 2018」『ジ・エッジ・オブ・ザ・サークル』。振付のホ・ヨンスン自らの指導のもとリハーサルが行われた。
「とても素敵な作品だなと感じました。音楽性と身体性と空気感が非常にマッチしていると思います。ヨンスンさんの出したいニュアンスや間合い、スピード感などを明確に指示してくれるのでダンサーとしてはすごく踊りやすいです」
 同作品は、金田あゆ子、近藤美緒、梅澤紘貴、高比良洋、辻本知彦、八幡顕光などの実力派ダンサーたちの出演も大きな注目を集めている。金田とは11年ぶりの共演となる。

 「久しぶりに金田さんと踊って、やはり素晴らしいダンサーだなと実感しました。 飯田利奈子さん、梶田留以さん、楠田智沙さんとは初共演ですが、フィジカルの強いダンサーで一緒に踊っていて楽しいです」
 新国立劇場小劇場にて2018年2月17日(土)と18(日)の3回公演。『ジ・エッジ・オブ・ザ・サークル』のほか、酒井はな、風間自然出演の『ロミオとジュリエット』よりバルコニーのパ・ド・ドゥと、ピナ・バウシュと共作活動を行ってきたジュリー・アン・スタンザックによる『月の銀を噛み、太陽を口に』の3作品が上演される。
 
 ここで新しいニュースの発表も!
 「2018年3月にNBAバレエ団の『海賊』に振付助手として加わることになりました。全幕のクリエイションに携われることになったのでとても楽しみです」
 同バレエ団芸術監督の久保綋一の演出・振付で、新垣隆の作曲となり、新しいシーンでは音楽も新たに創作するという。

  今後の野望についても語ってもらった。
 「僕には舞台人としての夢がいくつかあります。その1つが、オリジナルの全幕物を創れるようになることです。すでにとある作品の原作を僕なりの解釈で構想を練り、音楽も集め始めています。いずれ皆さんにお見せできる機会が来ることを願っています」

 

C)RYO OHWADA 撮影協力:スタジオ アーキタンツ

C)RYO OHWADA
撮影協力:スタジオ アーキタンツ

 

==プロフィール==

北美代子バレエ研究所に6歳で入所、7歳で初舞台を経験。18歳で新国立劇場バレエ研修所5期研修生として入所、2010年新国立劇場バレエ団入団、2014年7月ファースト・アーティストに昇格。振付家としても『Light Dance』『Disconnect』『はなわらう』『3匹の子ぶた』 などの創作作品を発表。2017年12月からNBAバレエ団に移籍が決定。

公演情報

<ARCHITANZ 2018>
2018年2/17(土)、18(日)新国立劇場 小劇場
http://a-tanz.com/category/architanz2018

NBAバレエ団『海賊』
2018年3/17(土)、18(日)東京文化会館  
※宝満は17日に出演
http://www.nbaballet.org/performance/2017/kaizoku/