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INTERVIEW

佐々木大Sasaki Dai

バレエダンサー

「初役のガジモドが楽しみです」

東大阪市の佐々木美智子バレエスタジオを拠点に、様々な場で活躍中のバレエダンサー、佐々木大。
昨今では、2012年の都民芸術フェスティバル『ジゼル』に貴族アルブレヒト役で主演、同年O.F.C合唱舞踊劇『ルートヴィヒ』で主人公ベートーヴェンの苦悩を表現し、2014年都民芸術フェスティバル『アンナ・カレーニナ』でアレクセイ・ヴロンスキー伯爵を踊り、2015年には『GQ2015 GABBY~世界で戦ってきた男たちの饗宴~』で20名あまりの男性ダンサーたちと共演した。

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  そして今年の夏、新たな役に挑戦する。

ヴィクトル・ユーゴ原作の『ノートルダム・ド・パリ』

 『ノートルダム~』はバレエではメジャーな演目ではないが、昨今の日本のバレエ団では、2012年に牧阿佐美バレエ団によるローラン・プティ版が上演され、ガジモドを菊地研が好演した。そして2015年、篠原聖一の演出・振付で佐々木大がガジモドを踊る。

「いつか演じられたらと思っていた役なので意欲満々です。醜く生まれ、親にも捨てられ、愛することも愛されることも知らず育ったカジモド。そんなガジモドのエスメラルダへの、初めて知った見返りを求めない真っ直ぐで不器用な愛と、育ての親であるフロロへの忠誠からの反抗をストレートに表現できればと思います」

 バレエでは一般的に、マリウス・プティパ振付の『エスメラルダ』とローラン・プティ振付の『ノートルダム・ド・パリ』に大きく二分される。前者はエスメラルダが主人公に、後者はカジモドがメインに描かれることが多い。そして篠原聖一の演出・振付により『ΑΝ’ΑΓΚΗ(宿命)』の名で新たに誕生することとなった。「ΑΝ’ΑΓΚΗ(アナーギ)」はギリシャ語で「宿命・必然・運命」の意味である。
 
 篠原がこの全幕創作に至ったのは、原作の誕生秘話に深い共感を覚えたのがきっかけという。
「ユゴーは、ノートルダム大聖堂の暗い片隅の壁に刻まれていた“ΑΝ’ΑΓΚΗ”の文字を見つけ、この文字が表している悲痛で不吉な意味に胸を打たれて作品を書いたと言われています。
 様々な階級の人々の愛の形、千差万別の人間のあらゆる面を描いたこの作品にインスパイアされ、人々の宿命を強く感じ、自分自身の『ノートルダム・ド・パリ』を演出したいと思いました」

注目のキャスティング

 大聖堂の聖職者フロロの役どころも見逃せない。醜い捨て子であったガジモドを育てた慈悲を持つ一方で、エスメラルダへの恋心から人生を踏み外す。そのフロロを踊るのは山本隆之。じつは佐々木と山本は出身高校が同じであり、活動拠点も関西に置いているなど共通点が多い。そのふたりが、崩れゆく信頼関係をどのように演じるのか注目したい。

 バイタリティ溢れるダンサーと評されることについて、佐々木自身はどのように分析しているのだろうか。
「自己評価は難しいですね。…でもノーブルではないのは間違いないですね(笑)」
と謙遜するが、貴族のアルブレヒトやヴロンスキー役などにも抜擢され、恵まれた容姿を持つ優れたダンサーであることは間違いない。 
「バレエ以外の舞台も多く経験し、頂く役も幅広いので、多様性はあるのかもしれません。ハマり役は『海賊』のアリや、『バフチサライの泉』の兵隊長ヌラリでしょうか。今回のカジモドもハマりそうです!
誰かのために身を削る役の方が力が出せてしまうのかも(笑)」

下村由理恵とのパートナーシップ

 ガジモドがはじめて愛した人エスメラルダを、下村由理恵が演じる。下村は佐々木とはじめて組んだときのことを、「明日から本番でも大丈夫!」とパートナシップはバッチリだったと絶賛するが、佐々木にとって下村はどんなダンサーなのだろうか。

「全幕バレエをどう踊るべきかを教えてくれた人です。作品への取り組み方や音楽の捉え方、役の解釈、
リハーサルでの真摯な姿勢など、彼女のレベルに到達しなければともがくうちに成長できた気がします」

 その優れたパートナシップの秘訣はどこにあるのだろうか。
「脚本の流れのまま踊るだけではなく、お互いにその場面の感情の流れに乗って、実験的に動いてみたり、演出家も交えなから、自分達の話す言葉(表現)を創っていくことが多いですね。もちろん演出家の描く”絵”にすることが最優先なのですが。演出家が心配するほど激しい言い合いもしばしばです(笑)」
 しかし深い信頼関係にあるからこそ、お互い率直に意見をぶつけ合えるのだろう。

 バレエ界のトップを走り続ける佐々木・下村・山本の共演は、成熟した大人のドラマを見せてくれるだろう。ガジモド、エスメラルダ、フロロの美しく哀切な〝宿命”に身を委ねたい。

 

インタビュー8月1日up2

==プロフィール==
 1991年国立ロシアバレエ団入団。03〜13年篠原聖一リサイタル『Dance for Life』に出演。2009年都民芸術フェスティバル『眠れる森の美女』、12年『ジぜル』、14年『アンナ・カレーニナ』に主演。2000年松山バレエ団芸術奨励賞。01年芸術選奨文部科学大臣新人賞、中川鋭之助賞。2004年服部智恵子賞。2012年橘秋子賞受賞。

公演情報

『AN’A「KH(宿命)』~ノートルダム・ド・パリより~
2015年8/30(日)16:00 八尾プリズムホール
http://sasaki-michiko-ballet.cloud-line.com/