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INTERVIEW

長谷川達也Hasegawa Tatsuya

ダンスカンパニーDAZZLE主宰。ダンサー、演出家・振付家

「ダンスは僕の人生で誇れるもの」

「ダンスレッスンを受けたのは、これまでの人生で10回ぐらい?(笑)。あとは独学です。ビデオテープを観て勉強したり、人がやらないような動きを追求していましたね。当時はダンスチーム EXISTの横井勇一さんやエレクトリック・トラブルに憧れていました」と語るとおり、スタートから独自の方法でダンス界での地位を切り開いてきた長谷川達也。

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  その長谷川率いるダンスカンパニーDAZZLEの結成20周年記念公演『鱗人輪舞(リンド・ロンド)』が、10月から開催される。男性のみの8名のメンバーで構成され、独創性ある世界観を確立してきた。ダンス界のみならず、ミュージカルの振付・出演、そして日本伝統音楽の和太鼓や三味線奏者との共演、歌舞伎俳優・坂東玉三郎演出への舞台にも出演、20周年記念公演を目前に迎えて、ますます勢いを増す長谷川達也に迫る。

唯一無二のダンスカンパニーDAZZLE

 大学のダンスサークルから出発したグループは1996年にDAZZLE(人の目を眩ませ、幻惑するの意)を結成するが、そもそもダンスをはじめたきっかけは?
「ダンスを教えてくれた大学の先輩が最初のきっかけで、そこからストリートダンスに入っていったのですが、日本最大のストリートダンスコンテストJAPAN DANCE DELIGHT(ジャパン ダンス ディライト[JDD])の優勝を目指しました」
 
 そして見事、2001年に準優勝を獲得する。プロとして意識したのはその頃からだったのだろうか。
「当時、職業としてダンスを選ぶ選択はほとんどなかったので、一般企業に就職せずにフリーターとして活動していました。その期間に迷いもあったのですが、”ダンスは僕の人生で誇れるものだ。それをやめることはすべきでない”という思いが強くなり、続ける覚悟を決めました」

 その次の展開はというと?
「JDDでの優勝も目指していたのですが、表現として独特だったので、ストリートダンス界からはストリートではないと言われていました。そんなとき、DAZZLEのパフォーマンスを観てくれた知人から、『あなたのダンスはコンテンポラリーダンスですね』と言われ、それなんですか?と(笑)。不思議なもので、そこからコンテンポラリーダンスへの道が開けてゆきました」

 ストリートダンスで準優勝歴を持つDAZZLEは当然、コンテンポラリーダンス界のコンクールを目指すことになる。
「でもそこでも、コンテンポラリーダンスでもないと言われました(笑)。どこに行ってもこのジャンルではないという評価なので、どうしようと思いながらイベント活動を続けていました」

ジャンルに囚われない強さ

  それでも「ダンスをやめようと思ったことは一度もないですね」と言い切る強さと自身を信じる力。その根底にあるものは、「ストリートでもコンテンポラリーでも、観ている人が面白いと感じてくれれば」という観客への深い愛情がある。DAZZLEの特色は、「すべてのカテゴリーに属し、属さない曖昧さ」にある。
 
 カテゴリーに属さないとしつつも「ストリートダンス出身」への肩書きに思い入れの強さも感じるが?
「はじまりがストリートダンスであったことも大きいですが、ストリートは音に合わせて踊るところに繊細なイメージがあります。たとえば、バレエは音楽の前に踊りだすこともあり、コンテンポラリーはノイズだったり、無音で踊ったりすることもある。でもストリートは、音を身体でどう表現するか、音に対してアクセントを拾っていく。その表現方法への思い入れが強いです」

 そして独自性を貫くDAZZLEの活動は舞台、そして海外へと広がってゆく。
2011年にルーマニアのシビウ国際演劇祭に参加した折にディレクターの目に留まり、中東で最大といわれるイランのファジル国際演劇祭へ招聘される。日本の伝承をもとにした舞台『花ト囮』は、熱狂的な歓迎を受け、特別賞と舞台美術賞のダブル受賞を果たす。

 2015年には、歌舞伎俳優・坂東玉三郎演出による舞台『バラーレ』に出演。「クラシック音楽とストリートダンスの融合」はDAZZLEに新しい可能性をもたらした。
「ストリートダンスは、自己の表現や内面を追求してゆく姿勢が特徴的なのですが、それを玉三郎さんに最初に見抜かれました。『もっと胸を開いてお客さんに届ける。あるいはもっと遠くに届けるように』と、アドバイスを頂きました。音楽を流して踊ってくださって、1番は自分に向けて、2番にお客様、3番がもっと大きなものに向けてと手本を見せてくださり、その違いがとても良く分かったんです。それから意識がすごく変わりました」

20周年記念公演『鱗人輪舞(リンド・ロンド)』に込めた思い

 そしていよいよ20周年記念公演『鱗人輪舞(リンド・ロンド)』が開幕する。
「ロンドは踊る、繰り返すという意味があります。リンドは、ウロコとヒトを表し、人魚が登場します。海が枯れてしまった世界で水を奪い合う殺伐とした環境で人を信じることができなくなった男が、千年を生きる人魚に出会い、愛情や信頼を取り戻してゆく物語です」

 まず物語を考え、舞台構成や衣裳のアイディアを練り、音楽を組み立て最後に振付に入る。そして小道具やナレーションも駆使するのがDAZZLEの舞台だ。本公演では、「90秒ごとにシーンが変わってゆく場面が、90分展開する」という濃密な内容になっている。
そしてもうひとつ注目したいのは音楽。ほとんどオリジナル楽曲の構成となり、林ゆうきが作曲にあたる。
「水がないという設定なので、砂漠のイメージに合う音楽を創作しています。弦楽器を中心に、重厚な映画的でクラシックなテイストを…」と創造の世界を膨らませる。

 そして、以前から挑戦したかった「マルチエンディング方式」が本公演で実現する。
「演劇では取り入れているところもありますが、劇中に観客の皆さんに選択を迫る方式は、ダンス作品ではたぶんないと思います。結末は2つのパターンが用意されていて、どちらのエンディングになるかはお客さん次第。物語の一員になっていただくので楽しんでいただけると思います」

 

C) Takao Sakai

C) Takao Sakai

==プロフィール==
 ダンスカンパニーDAZZLE主宰。ダンサー、演出家・振付家。SMAP、V6、TRF、Mr.Childrenなどのサポートダンサー、PV/コンサート出演ほかを務めた後、舞台作品の振付や出演など幅広く活躍。主演および演出を手がけた舞台『花ト囮』はGREEN FESTA 2009でグランプリを受賞。2011年シビウ国際演劇祭(ルーマニア)、2012年ファジル国際演劇祭(イラン)など海外招聘を経て、2015年坂東玉三郎演出による『バラーレ』の出演など次々と活動の幅を広げている。

●DAZZLE公式ウェブサイト:http://www.dazzle-net.jp

公演情報

DAZZLE 20周年記念公演『鱗人輪舞(リンド・ロンド)』
2016年10/14(金)~23(日) あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)
http://www.kyodotokyo.com/dazzle20